「子どもの学び育ちを保障する仕組みを考える」
中村 有美さん(社会福祉士)
松村 幸裕子さん(NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝)
武田 緑さん(一般社団法人コアプラス)
レポート:武田
当日の配布資料はこちら↓↓
20170918第3回_配布資料一式.pdf
今回のテーマは、「子どもの学び育ちを保障する仕組み」。
一人ひとりの人が幸せに生きていくという人権の観点からも、未来の社会づくりの観点からも、子どもたちの豊かな学び育ちの機会を保障することは本当に大切なことです。一方でそれを保障されているとは言えない状況で暮らす子どもたちは少なくありません。
子どもに関わる多様な立場の方に参加いただき、ざっくばらんに、かつ創造的に対話を重ね、子どもたちの学び育ちを保障するための未来の仕組みを共に考える会にしたいと企画をしました。
第一部は「インプット」の時間。私を含む3人の登壇者から、それぞれ15分ほど、話題提供がありました。
●中村 有美さん(社会福祉士)
一人目は、社会福祉士で、大阪府内スクールソーシャルワーカー、NPO法人フリースクールみなも副理事長、阪南大学非常勤講師、NPO法人スマイルスタイル・ハローライフ相談員などいろんな顔で活動なさっている中村有美さん。
不登校や非行の子ども若者の「やりたい」に勢いでのっかりながら、多くの子どもたちの家出に付き合い、家出先として実家を開放してきた学生時代の経験など、活動の原点になるようなエピソードをお話しいただきました。そして、「教育コミュニティづくり=すこやかネット」に関わった経験から、「教育」を縁に子ども同士、子どもと大人、大人同士が豊かに交流しあい、人々がつながり、『顔と名前が一致する人間関係』の中で、子どもを見守る活動が実施される地域づくりの重要性を語ってくださいました。
印象的だったのは「複数の依存先を持ち合わせていることが自立(湯浅誠氏)」であり、それを可能にするのが地域であり、「いろんな大人」との出会いが子どもたちにとって大事なのだという言葉でした。

●松村 幸裕子さん(NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝)
二人目は、NPO法人暮らしづくりネットワーク北芝の職員で、子どもたちが地域で稼ぎ使うことができる学びとセーフティネットのツールである地域通貨「まーぶ」の事務局として、その展開を取り仕切っている松村幸裕子さん。「まーぶ」の話は、北芝の全体の動きがわからないと伝わりづらいので・・・ということでまずは北芝の話から。
「まーぶ」だけではなく、ベースとしての居場所があり、そのうえに地域のお祭りやイベント、多様なプログラムがあるのだということ。「まーぶ」を介して、子どもたちの夢を、地域の大人が一緒になって実現していく「子ども夢コンテスト」や「まーぶ」で海外にいける仕組みなど、ワクワクするようなお話も聞かせていただきました。
印象的だったのは、学校の総合学習との連携や、キューズモールなど周辺企業などとの協働。地域通貨としては異色の「貯められる機能」があるということも、刹那的な欲望をコントロールして、もっと大きな嬉しいことが得られる(海外にいける、夢が叶うなど)ということを体験できる仕組みになっているのだと聞いて、なるほど!と思いました。

●武田 緑さん(一般社団法人コアプラス)
三人目は私・武田緑から、海外の事例ということで、デンマークの子ども、青少年向けの取り組みを紹介させていただきました。
「建築遊び場」は、廃材を利用して小屋を作り、創造的に思いっきり遊べる場。子どもごとに実際に公園内の区画をもらうことができ、そこで動物を飼ったり、秘密基地をつくったりできるような場所もあります。「ユーススコーレ」は若者の夜の居場所。コミュニーン(市町村)に1つ設置することが義務付けられており、放課後から夜にかけて、中高生を中心とした若者たちが集まり、いろんな過ごし方やクラブ活動・サークル活動を楽しめる場です。そこには見守り、支援する大人もいます。
子どもたちの学び育ちの保障といえば、教育格差・貧困がとりあげられ、対策として狭義の「学習支援」や「食の支援」だけがクローズアップされがちです。でも、遊びや多様な体験、人との出会いに価値を置いた仕組みづくりが、いま求められるのではないかという問題提起をさせていただきました。

第二部に続く・・・
この記事へのコメント